移植密度について

あまり考えることではないかもしれませんが、一般の方の髪の密度は、1平方センチあたり、150本~200本と言われています。これは人種によって変わり、東洋人より欧米人の方が多いと言われています。

髪は毛穴から生えているわけですが、一つの毛穴から1本~3本生えています。ですから、だいたい頭皮には1平方センチあたり、80~100の毛穴があるわけです。

自毛植毛手術では、毛髪を毛穴ごと組織(毛穴の奥にあって表面に見えない髪を作り出すシステム一式)を採取し、薄く見えやすい生え際などに移植する手術です。この毛穴ごと採取したひとまとまりの組織をグラフト(=株)と呼んでいます。

 

もし、一般の方と同じ密度で毛髪を移植するなら、1平方センチあたり、80グラフト~100グラフトを移植すると、大まかに言えば、同じようになるというわけです。

 

しかし、多くの専門クリニックでは、移植する場所の周りの髪へのマイナスの影響を考慮し、25~30株を移植しています。通常の方の25%~33%程度しか移植していないわけです。だから、手術が成功してもスカスカに見えるのは、当たり前です。

 

 

これはあくまで経験則になりますが、自毛植毛手術を受ける方が、100%満足と言えないまでも、これなら様子を見ても良いかと考えるレベルの髪密度を想定すると、1平方センチあたり、40株~50株は移植しなければならないと思います。つまり、通常の50%~60%です。

 

ただ、単純にこの密度で移植したら、前述したように移植した場所の周りの髪へ悪影響を及ぼし、周りの髪がぬけてしまったり、移植した髪が定着しなかったりしてしまいます。

 

そのため、通常の方の50%~60%密度で、安全に移植するためには、医師をはじめとしたスタッフや医療用具等の技術改善が必要です。ですから、どのくらいの密度で自毛植毛手術を行うかは、専門医にとっても、かなりデリケートな問題と言えます。

 

そういったところに注意して、専門クリニックの医師の話を聞いてみると、受診したクリニックの考え方や技術力をより深く理解することができるかもしれません。

植毛と増毛のメリット・デメリットとは

“植毛”というと自分自身の毛髪を薄い部分に移植する《自毛植毛手術》とナイロンなどでできた人工の毛髪を薄い部分に植え込んでいく《人工毛植毛》に分かれます。

自毛植毛手術が現在のように認知・普及していない頃は、この人工毛髪を植え込んでいく人工毛植毛が一般的だったのですが、現在はこの人工毛を使った植毛を行うところは少なくなりました。人工毛髪を使った植毛は自毛植毛とは異なり、その効果をすぐに実感できるというメリットがあり、植毛する本数も希望すれば一度に多くの本数を植えることができます。また、長さや色も自由に選べるということもメリットと言えます。

ただ、この人工毛植毛はデメリットもあります。ポリエステルやナイロンといった合成繊維でできた人工毛髪は頭皮に植え込んだ場合、人体が異物と判断し拒否反応を起こしてしまいます。これは人体に侵入してくる異物から体を守ろうとする免疫システムが働くからです。そうして体が拒否反応を起こすとその異物を体外に出そうとし、頭皮が腫れるといった炎症を起こしてしまいます。そうなると移植した人工毛は抜けてしまいます。きれいにすべて抜けてしまうのであればいいのですが、人工毛髪は頭皮のなかに簡単に抜けてしまわないようにしっかりと結びつけているので、途中で切れてしまったりした場合結びつけている根元の部分は頭皮の中に残ったままになってしまいます。そうなると頭皮の炎症が治まらないということになります。また、人間の毛髪は毎日伸びることで毛根の皮脂や汚れを押し出して清潔にできるのですが、人工毛は成長しないため植え込んだ部分に皮脂や汚れがたまってしまい細菌が繁殖してしまいます。そうなると頭皮が細菌に感染し化膿し炎症を起こしてただれてしまいます。そうなると頭皮に残った人工毛はもちろん、根元に残ってしまった結んだ部分も取り出さなくては化膿や炎症は続き頭皮が徐々に硬くなり、“夏みかん”の皮のようなボコボコの状態になってしまうのです。

そうしたこともあり、植毛の先進国と言われているアメリカでは人工毛髪を使った植毛は禁止されています。

 

一方、自毛植毛にもメリット・デメリットがあります。以前のコラムにも人工毛植毛と自毛植毛のコラムで説明しているので簡単に説明すると

メリットは

  • 自分自身の髪の毛を移植するので拒否反応が起こらない
  • 移植した毛髪は半永久的に生え続ける
  • 仕上がりが自然で違和感がない
  • パーマやカラーリングができる
  • 定期的なメンテナンス・ランニングコスト必要ない

というところ。

 

 

デメリットは

  • 外科的手術であるということ
  • 手術費用が高額である
  • 移植した髪の毛が生え揃うまでに時間がかかる(8ヶ月〜1年)
  • 移植するための移植毛を採取するため後頭部を刈り上げる必要がある※

※クリニックによっては後頭部を刈り上げずに採取する手術方法もある

 

植毛手術の技術向上により、仕上がりの自然さ、そして何より自分自身の毛髪が蘇るということで、現在は“植毛”というとこの《自毛植毛》が主流と言えます。

 

もう一つの薄毛の解消法として挙げられるのが《増毛法》です。以前はテレビコマーシャルではカツラの広告が多かったのですが、このカツラメーカーが主力として押し出しているのがこの《増毛法》です。メーカーにより呼称は変わりますが、行われていることはほとんど同じと言えるもので、現在残っている自分の毛髪に人工毛髪を結びつけるタイプの結着増毛が多いようです。あとは人工毛髪を粘着シートのようなものを使って貼り付けるタイプもありますが、基本的に残っている部分の毛髪をきれいに剃らなくてはならないということが必要になるタイプです。

 

増毛法のメリットですが、その効果が直ぐに実感できるということです。長さも希望に合わせられますし、自分の毛髪の色に合わせて増やすこともできます。また、カツラのようにムレることもないというのもメリットと言えるかもしれません。

 

デメリットは薄毛が進行しすぎて結着の元となる髪の毛がない場合はできないという点です。髪の分け目や前頭部などにまだ既存毛が存在している部分には最適ですが、生え際から前頭部にかけて髪が存在していないといった部分にはできません。

もう一つのデメリットは、定期的なメンテナンスが必要ということになります。結着させている自身の髪の毛が成長し伸びると、その伸びた分だけ結びつけている人工毛を下げなくてはならないという作業が必要になります。つまり使い続けるだけランニングコストがかかるというわけです。ただ、薄毛が進行するとこの増毛法も利用できなくなります。

そこがこの増毛法の大きなデメリットなのかもしれません。

 

自毛植毛、増毛法いずれを選択するにしても、こうしたメリット・デメリットを考慮し、自分のライフスタイルや自身の薄毛のタイプに合った最適な薄毛解消法を選ぶのがいいのではないでしょうか。